東京港の理解を深めてもらうために東京都が無料で運航している「東京みなと丸」。
竹芝ふ頭を出港し、レインボーブリッジ〜大井コンテナふ頭〜東京ゲートブリッジ〜青海コンテナふ頭など約1時間15分かけて東京港を巡る視察船です。
運航中はガイドの説明があるので、東京港について深く理解することができます。
「視察船で東京港を理解する」
なんて聞くと難しそうな印象がありますが(運航注意事項にも「遊覧目的や説明案内を聞かない人は乗船できない」と記載されています)、普段は入ることができない埠頭の風景は見応えがあります。
またレインボーブリッジや東京ゲートブリッジなどの観光スポットを海上から見るという貴重な体験ができます。
この記事では、東京都の視察船「東京みなと丸」に乗船した時の様子や、海上から見た東京湾スポットなどをご紹介します。
東京港視察船「東京みなと丸」の船体と船内
東京みなと丸は総トン数215トン、全長35mのイタリア製のクルーザーです。
新型コロナの影響でクルーズの中止が続き、船に乗るのは3年半ぶり!
小型船とはいえ楽しみです。
乗船後、案内されたのは会議室のような部屋です。
正面にはスクリーンが取り付けてあり、操舵室からのライブ風景を映し出しています。
室内には中央のテーブル席と、左右の窓側に二人席があり、自由に座ることができます。
写真を撮りたかったので窓側の席に座りましたが、この窓からは限られた範囲しか見えないのがちょっと残念。
なおガイドさんの説明は右側の窓から見た景色に関することが多かったので右側に座るほうがより楽しめるかも。
窓側の席からは上記の写真のような感じで見えます。
この日は小雨混じりの空模様。
どんよりした写真ばかりとなってしまいました・・・。
なお船内にトイレはありますが、この部屋以外は見学できず。
屋外(デッキ)にも出られません。。。
新型コロナ対策で定員は25名と制限されていましたが、私たちの時は15名程度が乗船していました。
東京みなと丸の運航ルート
私たちが乗船した時の東京みなと丸の運航ルートは以下の通りです。
乗船前の受付時にいただいたパンフレットの中面には、
このように運航コースや施設の説明が書かれています。
ガイドさんの説明と共に参考にしました。
東京みなと丸で巡ったスポット
次に主なスポットを航路に沿ってご紹介します。
日の出ふ頭
1925年に完成した東京港で最も古いふ頭。
昔は対岸の晴海・豊洲などの埋立地がなく、日の出ふ頭から日の出が見えたので、このような名前がついたとか。
いかにも港といった風情ですが、今ではこのような風景を見ることができるのはこの日の出ふ頭だけだそうです。
写真の三角屋根の建物は「上屋(うわや)」という名前で、倉庫と違い、荷物の一時的な保管場所という目的に使われています。
日の出ふ頭からは浅草やお台場などへの水上バスやレストラン船も運航しています。
芝浦ふ頭
東京港の中で二番目にできた芝浦ふ頭。
芝浦ふ頭ではセメント・紙類などの国内貨物を扱っているそうです。
交通の便が良いので、港湾作業を行う企業の本社があるのも特徴。
日の出ふ頭とは違い、立派な上屋倉庫が並んでいますね。
レインボーブリッジ
レインボーブリッジから先は戦後新しくできたふ頭です。
レインボーブリッジを下から眺めるのは初めて。ワクワクしますね。
品川ふ頭
貨物を積んだトラックをそのまま乗せることができ、港で荷物の積み下ろしが必要ないRORO船(ロールオン・ロールオフ船)が接岸できる品川ふ頭。
主に新聞用紙やトイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの紙類を扱っているそうです。
大井コンテナふ頭
大井コンテナふ頭は、大型のコンテナ船が同時に7隻着岸できる東京港で最大のコンテナふ頭です。
積み替え作業を不要にしたRORO船ですが、トラックごと積み込むためトラクターの車体などでデッドスペースが発生するのが欠点。
その欠点を解消したのが、トラック荷台を切り離したコンテナです。
コンテナは世界で規格が統一されており、現在外国貿易はコンテナが主流になっています。
一つのコンテナは2分ほどで積み下ろしできるそうです。
約10万トンのコンテナ船。
長さが336メートルあり、積載コンテナ数は4000から4500個。
コンテナの中身で多いのは衣料品・靴、食料品、電化製品などで、アジアの国々から送られてきているそうです。
確かに身の回りの品々の生産国を見るとアジアが多いですよね。
東京港はコンテナの取扱量が日本一。
大都市東京の衣食住を東京港が支えているわけですね。
青果1号上屋
果物・野菜を扱っている大井青果上屋の前にあるY字型クレーン。
船の中にノズルを差し込んで、掃除機のように小麦を吸い上げているそうです。
このあたりは水産物・小麦・果物などの冷蔵・冷凍倉庫があります。
羽田空港
羽田空港(東京国際空港)が近づいてきました。
先に見えるのは羽田空港のD滑走路。
その上に見える三角形が東京湾横断道路(東京湾アクアライン)の海底トンネル部分の換気塔「風の塔」です。
天気が良いと房総半島まで見えるそうですが、この日はあいにくのお天気だったため、ほとんど見えませんでした。
このあたりで船はUターンします。
東京ゲートブリッジ
中央防波堤外側埋立地(海の森公園)と若洲地区(若洲海浜公園)を結ぶ東京ゲートブリッジ。
高さ54mあり、障害物が少ないのでここからの眺めは絶景だとか。
歩道もあるので、歩いて渡ってみたいな。
うっすらとスカイツリーも見えます。
青海コンテナふ頭
12基のコンテナクレーンが並ぶ青海コンテナふ頭。
これだけのコンテナクレーンが立ち並ぶ姿は圧巻です!
東京国際クルーズターミナル
20万トン級の大型客船も着岸できる東京国際クルーズターミナル。
屋根が波のように反っており、またベランダが三重塔のように四周を囲う外観が特徴的ですね。
なかなか海側から見ることができないので、貴重な体験です。
お台場地区
目の前が海で眺めが良く、レインボーブリッジが近くにありアクセスが良いということで、臨海副都心で一番最初に開発されたお台場地区。
ペリー来航に危機を感じた江戸幕府が築造した台場(砲台)。
現存するのは第三台場と第六台場のみで、第三台場は陸続きになり、現在は公園として開放されています。
東京タワーが根元から見えるレアなスポット
コースの終盤、再び日の出ふ頭の近くを運航していると、高層ビル群の隙間から東京タワーが見える瞬間が。
それもほぼ根元から先端まで建物に邪魔されることなく見えるのは珍しいですよね。
晴海ふ頭
白い三角屋根が特徴的な晴海客船ターミナル。
2022年2月に閉館し、約30年の歴史に幕を閉じました。
晴海客船ターミナルの左手に見える建築物はオリンピックの選手村になったマンション群。
浜離宮恩賜庭園
かつての徳川将軍家の別邸、現在は特別史跡・特別名勝に指定された都立公園です。
すぐ背後にそびえる汐留の高層ビルとのコントラストが何とも言えないですね。
東京みなと丸乗船中に出会った東京湾の船舶
ここからは乗船中に出会った船をご紹介します。
東京港周辺の紹介だけではなく、船の説明もあったりして面白いですよ。
まるで宇宙船のような船は、松本零士氏がデザインした水上バスの「ホタルナ」。
日の出桟橋~お台場間では屋上デッキに上がることができるそうです。
気持ち良さそう!
こちらは4000馬力もあり、スクリューが360度回転するタグボート。
いつもはクルーズ船上から見下ろしていたけど、このように見えると結構大きい!
南極観測船「しらせ」。
11月中旬に南極に向けて出発するための、荷物を積み込む準備をしていました。
母港は横須賀港ですが、東京港から出港するそうです。
海の掃除をする清掃船。
双胴船といって船体が二つに分かれており、分かれた真ん中のところからゴミを吸い込み、後ろにある大きな鉄の籠にゴミを貯め、ふ頭に着くと籠ごと陸揚げして処分しています。
きれいに見える東京湾ですが、港内には清掃船が7隻もあるそうです。
東京みなと丸の予約方法
運航日 | 火曜日・水曜日・木曜日・金曜日 (除く祝日) |
運航時間 | 10時30分~11時45分(10時10分集合) 13時45分~15時00分(13時25分集合) |
出港場所 | 竹芝小型船船着場 東京都港区海岸1-16-3 地図を見る |
公式Webサイト | 東京みなと丸 |
東京みなと丸は、火曜日から金曜日(除く祝日)の午前と午後に1回ずつ運航しています。
利用できるのは15歳以上となっていますが、東京都民ではなくても乗船することができます。
予約はインターネット(東京都港湾局のWebサイト)から行います。
日にちによってはすぐに満席になってしまうこともあるので、気になる方は早めにチェックしてみてくださいね。