楽しみにしていたクルーズ旅行。
しかし時にはやむを得ない事情で取りやめなければならないこともあります。
そんな時に気になるのが取りやめたことによるキャンセル料。
クルーズや飛行機、前後泊の宿泊などがセットになったいわゆるパッケージツアーのクルーズ旅行でも、クルーズだけの手配を旅行会社に依頼した場合でも、申し込みの意思表示を行い、予約金(デポジット)を支払うことで正式な申し込み(契約)となり、その後の定められた期間でキャンセルを行うとキャンセル料が発生するようになります。
この記事では外国船クルーズに関するキャンセル規定について、キャンセル料はいつから発生し、いくら必要になるのか、また見落としがちなポイントなどキャンセルに関する疑問、さらにはキャンセルを補填する保険について解説します。
この記事を参考にして安心してクルーズ旅行を計画してくださいね。
クルーズ旅行における病気や怪我などを補償する海外旅行保険の必要性について知りたい方は次の記事をどうぞ。
クルーズで保険は入るべきか?加入すべき3つの理由
クルーズのキャンセル料とは?キャンセル規定(ポリシー)について
クルーズに限らず、旅行商品にはキャンセルに関する規定(キャンセルポリシー)があります。
予約をキャンセルする場合に、いつまでにキャンセルすればどのくらいのキャンセル料がかかるのか、といったことを定めたルールのことです。
キャンセル料が発生する時期が定められていて、その期間に入ってからのキャンセルが対象となります。
実は私たちも予約していたクルーズ旅行をキャンセルしたことがあります。
予約時にキャンセル規定を確認していたので、キャンセル料が発生する期間の前にクルーズ中止の手続きを行いました。
そのためキャンセル料をとられることはなく、また支払っていた予約金は返金してもらえました。
きちんとキャンセル規定を確認しておいてよかった!
まずはクルーズのキャンセル料の基本的な考え方からみてきましょう。
クルーズのキャンセル料の基本的な考え方
クルーズの場合、キャンセル料はクルーズ会社やクルーズ日数、キャンセルを行う時期、客室カテゴリーなどによって料率が異なってきます。
日数の短いクルーズでは、まずは予約金の全額がキャンセル料として徴収される場合が多いようです。
そして出港日が近づくにつれて、キャンセル料が多額になっていきます。
たとえばプリンセス・クルーズで6泊以下のクルーズの場合、
- 出発の60日前までは無料
- 59日前から45日前までは予約金全額
- 44日前から15日前まではクルーズ料金の50%
- 14日前から8日前までは75%
- それ以降は100%
と設定されています。
なおグレードの高い客室や、世界一周などの長期間のクルーズでは、かなり早い時期からキャンセル料がかかることがあります。
クルーズ会社ごとのキャンセル料の比較
では実際にはどのような規定になっているのか、ここからは具体的にいくつかのクルーズ会社のキャンセル規定とキャンセル料金をみていきます。
プリンセス・クルーズ
①日本発着クルーズ
取消時期 | 取消料 |
---|---|
出発日の前日から起算して90日以上前 | 無料 |
出発日の前日から起算して89日~57日前 | 予約金相当 |
出発日の前日から起算して56日~29日前 | 総代金の50% |
出発日の前日から起算して28日~15日前 | 総代金の75% |
出発日の前日から起算して14日前以降 | 総代金の100% |
②海外発着クルーズ(6泊以下)
取消時期 | 取消料 |
---|---|
乗船日の前日より起算して60日以前 | 無料 |
乗船日の前日より起算して59日前~45日前 | 予約金相当 |
乗船日の前日より起算して44日前~15日前 | 総代金の50% |
乗船日の前日より起算して14日前~8日前 | 総代金の75% |
乗船日の前日より起算して7日前以降 | 総代金の100% |
プリンセス・クルーズのキャンセル規定は次のページで確認できます。
プリンセル・クルーズキャンセル規定
MSCクルーズ
①ヨットクラブキャビン以外
取消時期 | 取消料 |
---|---|
出港日の前日から起算して105日前迄 | クルーズ料金の5% |
出港日の前日から起算して104日〜76日前 | クルーズ料金の15% |
出港日の前日から起算して75日〜31日前 | クルーズ料金の25% |
出港日の前日から起算して30日〜16日前 | クルーズ料金の50% |
出港日の前日から起算して15日〜6日前 | クルーズ料金の75% |
出港日の前日から起算して5日目以降 | クルーズ料金とポートチャージの100% |
②ヨットクラブキャビン
取消時期 | 取消料 |
---|---|
出港日の前日から起算して120日前迄 | クルーズ料金の5% |
出港日の前日から起算して119日〜90日前 | クルーズ料金の25% |
出港日の前日から起算して89日〜60日前 | クルーズ料金の40% |
出港日の前日から起算して59日〜30日前 | クルーズ料金の60% |
出港日の前日から起算して29日〜15日前 | クルーズ料金の80% |
出港日の前日から起算して14日目以降 | クルーズ料金とポートチャージの100% |
MSCクルーズのキャンセル規定は次のページで確認できます。
MSCクルーズキャンセル規定
キュナード・ライン
①クルーズの期間が6泊以内
取消時期 | 取消料 |
---|---|
75日以上 | 無料 |
74日~45日前 | 全額の20% |
44日~29日前 | 全額の50% |
28日~15日前 | 全額の75% |
14日以内又は当日に現れなかった場合 | 全額の100% |
②クルーズの期間が7泊~30泊
取消時期 | 取消料 |
---|---|
90日以上 | 無料 |
89日~61日前 | 全額の20% |
60日~31日前 | 全額の50% |
30日~15日前 | 全額の75% |
14日以内又は当日に現れなかった場合 | 全額の100% |
キュナード・ラインのキャンセル規定は次のページで確認できます。
キュナード・ライン キャンセル規定
セレブリティクルーズ
①5泊以下の通常期クルーズ
取消時期 | 取消料 |
---|---|
出航日の60日前まで | 無料 |
出航日の59日前-30日前まで | デポジットの金額 |
出航日の29日前-15日前まで | クルーズ代金の50% |
出航日の14日前以降 | クルーズ代金全額 |
②10泊以上クルーズ
取消時期 | 取消料 |
---|---|
出航日の75日前まで | 無料 |
出航日の74日前-45日前まで | デポジットの金額 |
出航日の44日前-15日前まで | クルーズ代金の50% |
出航日の14日前以降 | クルーズ代金全額 |
セレブリティクルーズのキャンセル規定は次のページで確認できます。
セレブリティクルーズ キャンセル規定
ディズニークルーズライン
①5泊以下のクルーズ(スイート/ コンシェルジュ以外)
取消時期 | 取消料 |
---|---|
90日前まで | 無料 |
89日~45日 | デポジットの金額 |
44日~30日 | バケーション料金の50% |
29日~15日 | バケーション料金の75% |
14日~0日 | バケーション料金の100% |
②6泊以上のクルーズ(スイート/ コンシェルジュ以外)
取消時期 | 取消料 |
---|---|
120日前まで | 無料 |
119日~56日 | デポジットの金額 |
55日~30日 | バケーション料金の50% |
29日~15日 | バケーション料金の75% |
14日~0日 | バケーション料金の100% |
ディズニークルーズラインのキャンセル規定は次のページで確認できます。
ディズニークルーズライン キャンセル規定
*上記は2024年12月時点のキャンセル料金をピックアップしてありますが、それぞれの会社には上記に紹介した規定以外にもありますのでご注意ください。
クルーズ期間が長いほどキャンセル料がかかる時期が早くなるようですね。
また客室クラスによって時期が異なることもわかりますね。
上記のようにクルーズ会社ごとに規定が異なっています。
キャンセル規定は、パンフレットの裏表紙や各クルーズ会社のwebサイトに掲載されていますので、必ず目を通すようにしておきましょう。
代理店によるキャンセル規定と料金
今まで見てきたのはクルーズ会社が規定しているキャンセルポリシーですが、それとは別に販売代理店が独自のキャンセル規定を設けていることがあります。
つまりクルーズのキャンセルを行う際、上記のクルーズ会社のキャンセル料の他に、販売代理店が決めた取り消し料金(手数料)が必要となる場合があるのです。
以下はある販売代理店が独自で定めている取消手続きにかかる料金です。
クルーズ代金(諸税込み) | 取消手続料金 |
---|---|
120日前まで | 無料 |
119日~56日 | デポジットの金額 |
55日~30日 | バケーション料金の50% |
29日~15日 | バケーション料金の75% |
14日~0日 | バケーション料金の100% |
すべての販売代理店が取り消し料金や手数料を設定しているわけではなく、徴収しない販売代理店もあります。
私たちがキャンセルをした時に利用した販売代理店には独自の手数料等はありませんでした。
キャンセルが必要になってしまった時に初めて取り消し料金の存在を知って驚いた、などということがないように、申し込み時に販売代理店の規定も合わせて確認することも大切ですね。
出港直前の申し込みや特別価格のプロモーションに注意
海外のクルーズ会社では、出発日が近づくと通常より安い料金で販売することがあります。
私たちも出港の1週間前に格安料金を見つけ、申し込んだことがあります。(その時の旅行記「飛行機を使わずに海外へ!横浜発着クルーズ旅行記」)
多くのクルーズ会社は出港の2週間前からキャンセル料金がクルーズ料金の100%となりますので、申し込んだ途端に100%のキャンセル料金が発生するわけです。
まあ、1週間前ですから自分からキャンセルすることはないとは思いますが。
安い料金で申し込んだはいいけど、万が一クルーズ に行けなくなった場合、クルーズ料金の全額が戻ってこないことになりますので、申し込み時には注意が必要です。
また、クルーズ申し込み時点から100%返金不可の特別価格のプロモーションを購入した場合にも、キャンセルした際の返金等は受けられません。
クルーズキャンセル保険について
クルーズには、キャンセルすることになった場合に発生する費用を補償する保険「クルーズキャンセル保険」があります。
クルーズキャンセル保険の必要性
クルーズキャンセル保険が必要な理由は以下の通りです。
- 高額なキャンセル料への備え
- 予期せぬ事態への備え
クルーズ旅行のキャンセル料は、一般的な旅行と比較して高額になることが多く、出発日が近づくほどキャンセル料も高くなります。
病気、ケガ、家族の急病など、やむを得ない理由で旅行をキャンセルしなければならない場合、その費用は自己負担となります。
キャンセル保険に加入しておけば、この高額なキャンセル料の一部または全額が補償されるため、経済的な負担を軽減することができるというわけです。
キャンセル保険と海外旅行保険との違い
海外発着クルーズの場合、海外旅行保険に入る方も多いと思います。
我が家も必ず海外旅行保険に加入しています。
クルーズキャンセル保険も海外旅行保険もどちらも旅行中のトラブルに備えるための保険ですが、それぞれ特徴や補償範囲が異なります。
主な違いは以下の通りです。
クルーズキャンセル保険 | 海外旅行保険 | |
---|---|---|
主な補償内容 | 主にクルーズ旅行のキャンセル費用 | 病気、ケガ、盗難、賠償責任など、海外旅行中に発生する様々なリスク |
加入方法 | クルーズ旅行の予約時に、旅行代理店やクルーズ会社を通じて加入 | 旅行代理店や保険会社で加入 |
補償範囲 | クルーズ旅行のキャンセルに特化 | クルーズ旅行だけでなく、一般的な海外旅行全般をカバー |
クルーズキャンセル保険は、その名前の通りクルーズに特化した保険であり、キャンセル料の補償が主な目的です。
クルーズ旅行のキャンセル料は高額になることが多いため、そのリスクに備えるための保険と言えます。
一方の海外旅行保険は、病気、ケガ、盗難、賠償責任など、海外旅行中に発生する様々なリスクをカバーする保険です。
必要な補償内容に合わせて、オプションで補償範囲を拡大することができるのが特徴です。
クルーズキャンセル保険
ここではクルーズ会社や損害保険会社が提供しているクルーズキャセル保険をみていきます。
プリンセス・クルーズのクルーズキャンセル保険「プリンセス・キャンセル料免除プログラム」
プリンセス・クルーズでは、万が一の際にクルーズ旅行をキャンセルした場合に、支払ったクルーズ代金を返金してくれるプログラム「プリンセス・キャンセル料免除プログラム」を提供しています。
特徴は以下の通りです。
- 出発の72時間前までのキャンセル料免除
- 理由を問わずキャンセルした場合のクルーズ代金の全額払い戻し
- 船への受託手荷物保険(保険金上限は500米ドル)
- 加入には別途費用が必要。加入料は申込後、いかなる理由でも返金は不可
- 加入はクルーズ予約時のみ
日本発着クルーズの場合、出発日の14日前以降はキャンセル料がクルーズ料金の100%かかってしまいますが、プリンセス・キャンセル料免除プログラムに加入していれば、出発の72時間前まではキャンセル料が不要となります。
プリンセス・キャンセル料免除プログラムの加入料は以下のとおりです。(2023年4月時点)
- 1人あたりのクルーズ代金が 62.5 万円以下の場合:クルーズ代金の 10%
- 1人あたりのクルーズ代金が 62.5 万円を超える場合:クルーズ代金の 8%
我が家も新型コロナウイルスが5類に移行する前のクルーズ旅行では、プリンセス・キャンセル料免除プログラムに加入し、万が一感染してクルーズに行けなくなるリスクに備えました。
プリンセス・キャンセル料免除プログラムは次のページで確認できます。
プリンセス・キャンセル料免除プログラム
FIT海外旅行保険の「クルーズ旅行取消費用補償特約」
HISのグループ会社であるエイチ・エス損保の海外旅行保険「FIT海外旅行保険」の特約として「クルーズ旅行取消費用補償特約」をつけることができます。
クルーズ旅行のキャンセル時に発生する取消料や違約料などの費用を補償するものです。
補償される主な理由は、
- 病気やケガをして入院した場合
- 火災、台風、なだれ等により 100万円以上の損害を受けた場合
- 病気やケガで医師の指示で出国を中止した場合
クルーズ旅行取消費用補償特約は次のページで確認できます。
クルーズ旅行取消費用補償特約
申し込み時には必ずキャンセル規定の確認を
本記事で紹介したようにキャンセル規定はクルーズ会社ごとに異なり、またクルーズ日数、キャンセルを行う時期、客室のカテゴリーなどによって設定されています。
さらに販売代理店が独自にキャンセル料金を設けている場合もありますので、自分が申し込んだ代理店の規約も合わせて確認することが大事です。
大切なことは、いつからキャンセル料金が発生するのかなどのキャンセル規約をクルーズ旅行を予約する前に確認することです。
細かい内容が記載されていることもあり、規約を見るのは億劫ではありますが、重要な情報なのできちんと理解した上で手配を進めましょう。
せっかくのクルーズ旅行、めったにキャンセルすることは無いとは思いますが、申し込む前にキャンセル規定を確認することをおすすめします。